高松高等裁判所 昭和33年(う)72号 判決
所論は法令の適用違背を主張し、原判示第一の健康保険法違反の所為と原判示第二の詐欺罪は手段結果の関係にあるから刑法第五四条第一項後段を適用し、一罪として処断すべきに拘らず併合罪として処断したのは違法であるというのである。
然し被告人の原判示第一の従業員でない者を従業員の如く仮装して被保険者の資格を取得せしめんが為虚偽の屈出をした健康保険法違反の所為と、右所為により被保険者の資格を取得した者の申出に基づき事業主として傷病手当金の交付申請手続に必要な一定の期間組合の労務に服し得なかつた旨の虚偽の証明をして傷病手当金名下に金員を受領せしめた原判示第二の詐欺罪とはその犯罪の性質上通常手段結果の関係があるとは認められず、両者は併合罪と認むべきであるから、これを併合罪として処断した原審の認定は相当である。この点についての論旨は理由がない。
(裁判長判事 谷弓雄 判事 小川豪 判事 松永恒雄)